質疑番号 | 132 |
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構造種別 | 鉄筋コンクリート造(RC) |
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技術基準解説書 | 357ページ |
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公開日 | 2008/07/23 |
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最終更新日 | 2008/08/01 |
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| 板状のRC造共同住宅のような張り間方向が1スパンで全層連層耐力壁となる架構の建築物について、連層耐力壁の構面を基礎固定(浮き上がり変形を拘束)として必要保有水平耐力(Ds)を求める場合、
1)保有水平耐力を計算するに当たっては、別途基礎の浮き上がりを考慮して保有水平耐力を求めなければならないのか。
2)また、基礎の圧壊の検討も必要となるのか。 | 1)については、張り間(耐力壁)方向の保有水平耐力計算において、必要保有水平耐力(Ds)を基礎固定として算定する場合には、保有水平耐力についても基礎固定として算定することで構いません。
この質問にあるような1スパンの耐力壁架構に関しては、Dsの算定と保有水平耐力の計算との連続性(構造計算上の仮定やモデル化の一貫性)に配慮するという、工学的な判断に基づき、それでよいこととしています。
2)については、塔状比が4を超える場合には、平19国交告第594号第4第五号の規定により、C0を0.30以上とした地震力あるいは保有水平耐力に相当する地震力のいずれかを用いて建築物の構造計算を行った時の支点反力に対し、局所的な浮き上がりはあっても、建築物全体が転倒する崩壊メカニズムとならないことを確認し、地盤の圧壊および杭の引き抜きと圧壊に対する検討をする必要があります。基礎固定として計算した全層の必要保有水平耐力用のDsが0.3を上回る(例えばDs=0.55など)場合でも、全体転倒の検討は、C0を0.30以上として建築物の構造計算を行った時の支点反力により検討を行えばよいことになります。
塔状比が4以下の場合には、このような検討は義務付けられていません。
なお、上記の2つの回答は、いずれも保有水平耐力の計算における扱いについてであり、一次設計においては、直接基礎の場合、全体として浮上りが生じないことを確認する必要があること、圧縮側で接地圧が地盤の短期許容応力度を超えないことを確認する必要があることは、構造計算の前提として満足しなければなりません。また、杭基礎の場合、引張側で引抜き力が杭の短期許容引抜き抵抗力を超えないことや圧縮側で鉛直力が杭の短期許容支持力を超えないことを確認する必要もあります。いずれの場合についても、計算上で支点に局所的に引抜きが作用する場合には、平19国交告第594号第2第一号ロの規定などに基づき、力のつりあい条件を満足するような検討が必要です。このとき、直交ばり等で隣接する架構に力を分担させる等の検討を別途行うことで、実際には浮き上がりや転倒が生じないことを示すこともできます。 |