構造関係基準に関するQ&A


質問内容回答
質疑番号29
構造種別鉄筋コンクリート造(RC)
技術基準解説書362ページ
公開日2007/07/24
最終更新日2013/08/28
昭55建告第1792号第4の柱及びはりの区分表で、FA~FCの破壊形式の条件として、付着割裂破壊を生じないこととなっていますが、はりについては、付着割裂破壊に対する検討を行う必要があるのでしょうか。
また、検討が必要な場合の条件、検討式(参照規準)の例示をお願いします。
柱に比べると梁の付着割裂破壊は生じにくいので一般には付着割裂の検討は必要ありません。ただし,せん断スパン比が小さく,しかも,引張主筋を一列に多数配筋する場合や,太径あるいは降伏点の高い鉄筋を主筋に使用している場合は,梁についても付着割裂破壊の検討が必要となります。一般に荒川式によるせん断の検討は,柱や梁部材の付着割裂破壊に対する検討も同時に行っていると考えることができます。ただし、梁におけるカットオフ筋定着部の割裂破壊に対する検討は兼ねませんので、カットオフ筋の定着の検討を行う場合は、RC規準(2010)などにより適切に行う必要があります。
質疑番号65
構造種別鉄筋コンクリート造(RC)
技術基準解説書367ページ
公開日2007/07/24
最終更新日2010/03/05
備考2007/9/8
修正
2010/3/5
Q&A作成SWG修正
どのような場合に柱や梁部材の終局における付着割裂の検討を行うべきか。またその検討方法はどうすればよいか。
終局における付着割裂の検討は,本来全ての場合に行う必要がありますが,ルート1,2-1,2-2では検討を省略することができます。 (付着応力度が大きな部材では検討することが望ましいといえます。)引張り鉄筋が多い部材や、強度の高いコンクリートと鉄筋を用いている部材、鉄筋をカットオフしている部材では、特に検討が重要となります。
検討方法の例としては,p.630のd)に示される方法,鉄筋コンクリート構造計算規準・解説(1999)の16条(付着および継手),17条(定着)に示される方法(ただし,σtはσy(鉄筋の降伏強度)と置き換えるものとする)などが考えられます。
なお、付着割裂の検討とは別に、一次設計としての付着の許容応力度の検討は、令第82条第一号から第三号の計算の一環として、ルート1~3のすべての場合に必要となります。この場合には、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(1991)の方法によることができます。
質疑番号32
構造種別鉄骨造(S)
技術基準解説書320ページ
公開日2007/07/24
最終更新日2010/03/05
備考2010/3/5 Q&A作成SWG修正
鉄骨造の幅厚比の制限についての質問です。ルート2で計算する場合でブレース構造の場合、柱・梁は圧縮力等軸力のみしか受けませんが、幅厚比の規定は適用されるのでしょうか。構造計算を行うときに純ブレース構造と仮定したとしても、すべての柱及びはり部材の両端が完全なピンとなっているとは考えにくく、地震力によってある程度の曲げモーメントが生ずる可能性が高いため、一般にはブレース構造の柱はりであっても幅厚比規定が適用されます。

 なお、本規定(昭55建告第1791号第2第四号及び第五号)にはただし書きが設けられており、『鋼材の断面に構造耐力上支障のある局部座屈を生じないことが確かめられた場合』には、適用を除外することができます。一例として、両端がピン又はピンに近いような条件のはり等で端部が塑性状態に達しないとみなせるものは、局部座屈を生じないことを計算で確かめることで、幅厚比の規定を適用しないことができます。
局部座屈が生じないことを計算によって確かめる方法としては、技術基準解説書p.323に示された方法(崩壊メカニズム時を想定した応力状態に対しても弾性状態に留まり、かつ、その応力に対して局部座屈が生じないことを直接確かめる方法)のほか、ブレースでほとんどの水平力を分担する構造では、ブレースの降伏軸力等から計算した保有水平耐力が、柱・梁の幅厚比も考慮したDs値に基づく必要保有水平耐力を上回ることを確認することによって幅厚比を緩和することも可能です。
質疑番号134
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書281ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
自走式駐車場の構造計算上の扱いの原則はあるか。自走式駐車場の構造計算上の扱いは、自走式駐車場の構造や斜路の規模・配置によって異なるので「原則」はありません。ただし共通項として構造計算上配慮すべき点を以下に例示します。
 自走式駐車場で問題となる斜路は計画上は階段と類似の部分ですが、階段に比べて、水平床とほぼ同様の構造で大きな耐力・剛性を持っていること、上り角度が小さいこと、広い面積を持ち多くの鉛直部材に接合され、さらに水平な床と一体化されている場合が多く、構造計算上、一般的な階段以上の配慮を必要とします。
 ラーメン架構内に床版並みの剛性・耐力を有する斜路を配置する場合は、斜路を含む構面に対して斜路がブレース材と同様の効果を発揮することに対して、接合している柱、水平梁、基礎の軸力増大や床との一体性確保、上下斜路間の鉛直部材の長さと層レベルとの関係などについて補足的な検討を行う必要があります。また、斜路の配置に偏りがあれば車路により偏心の影響を受ける側の架構が安全であることの確認が必要です。
また、スパイラル式の斜路となるような場合は、1周分を1層として構造計算を行うのが一般的です。
質疑番号135
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書550ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
技術的助言(平19国住指1335号)1.2②で、塔状比が4を超える場合に必要な解析方法として示された「架構全体としての曲げ変形を考慮した解析方法」とは、どのような解析か。
水平力作用時の柱の軸応力による変形を考慮した架構全体の変形解析と考えてよい。
質疑番号136
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書305ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
塔状比に関しては、No.67において「原則として重心位置の形状で判定する」と示されているが、平面形状・立面形状が特殊な場合はどう判断すればよいか。
塔状比に関する制限は全体転倒の影響を考慮して定められていることから、全体転倒に対して有効に抵抗する部分を想定して、高さ及び幅(見つけ幅)を考えればよい。
 一例として、平面形状がL形の建築物の場合には、X方向やY方向ではなく、斜め方向の検討が必要な場合があることに注意が必要です。
質疑番号137
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書307ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
全体崩壊形の例示として、最上階・最下階を除くすべての層のはりにヒンジが形成された図(中間階部分の柱のヒンジが形成されていない)が示されているが、階の一部分であれば、柱頭・柱脚にヒンジが形成されていても全体崩壊形に含めてよい場合があると思われる。一部の柱に柱頭・柱脚ヒンジが形成される場合でも、最終的にすべての階において十分な塑性ヒンジが形成されるような計画であれば、全体崩壊形と判断することができます。
特に、RC造の引張柱の降伏を含む形式のメカニズムは、全体崩壊形に含めてよいが、ただし、ごく早期に引張降伏する柱は、逆方向加力時の鉄筋座屈の恐れが高く、注意すべきです。
質疑番号138
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書272ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
片(偏)土圧を受ける建築物の地震時土圧の取扱いについて、
1)鉛直(長期)荷重時の滑動等に対する安全率を1.0として地震時土圧の検討を省略できるか
2)鉛直(長期)荷重時に受動土圧を考慮してよいか
基準解説書p.272において、令第83条第2項の(建築物の実況に応じた)土圧について、「地震力の大きさなどを適切に考慮する必要がある。」と記載されていることから、地震時の土圧も原則として考慮し、根拠なく無視することは適切ではないと考えらます。さらに、これらの土圧によって生ずる応力に対しての部材や架構の断面の検討も必要です。
1)については以下の通り:
鉛直(長期)荷重時の滑動等に対する安全率を1.0として地震時土圧の検討を省略することは適切ではありません。地震時土圧を評価して滑動しないことを確認するか、主動土圧の場合には、実務設計で通常行われているように、鉛直(長期)荷重時の安全率を割り増す(1.5以上)ことで地震時の安全性を確保するという考え方もあります。
2)については以下の通り:
日本建築学会「建築基礎構造設計指針」(2001年版)p.33およびp.361に記載されているように、受動土圧が有効に作用するのは変形が相当進んだあとであること、さらに前面の土が施工時や建物完成後に乱される危険があるため、受動土圧は考慮しないのが原則である。ただし、根入れが非常に深い場合などでは、受動土圧を考慮できると考えられます。
質疑番号139
構造種別鉄筋コンクリート造(RC)
技術基準解説書341ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
耐力壁などの耐震要素の量が多いルート1やルート2-1にあっては、袖壁付き柱の袖壁部分や、腰壁・垂れ壁付き梁の腰壁・垂れ壁部分などの雑壁を無視して応力解析を行って断面算定を行って良いでしょうか。一般的には、十分な耐震要素の量が確保できていると考えられるルート1に 関しては、ご質問のような条件の壁がAw等に算入されていたとしても、応力解析上は無視したモデル化で断面算定を行ってよいものと考えられます。
ただし、構造部材は釣合いよく配置しなければならないという原則に則った計画上の配慮を行うことが必要です。また、耐力壁に先行してせん断破壊するような極短柱や極短袖壁付き柱(*)が存在する場合には、その軸力支持能力を喪失する可能性がありますので、計算上無視する腰壁などの影響で極短柱や極短袖壁付き柱となる柱や袖壁などのせん断補強筋比は0.4%以上とするなど、できるだけせん断破壊しないような配慮が必要です。

ルート2ー1に関しても扱いは同様ですが、ルート2の条件である剛性率・偏心率などの規定を満足する必要がありますので、 袖壁や腰壁・たれ壁および構面外の雑壁も考慮した検討を必ず行い、剛性率・偏心率などの適否判断上の影響がないことについての確認が必要です。

(*)…ここでは、柱または袖壁付柱の内法高さと柱または袖壁付柱のせいの比が2以下の独立柱と袖壁付柱を指すものとする。
質疑番号140
構造種別基礎・地盤
技術基準解説書528ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
杭の支持力評価における先端N値について「上方4D、下方1Dの平均が原則」としているが、日本建築学会「建築基礎構造設計指針」(たとえばp.205~)と整合していない。
基準の適用の原則として、「法令を満たすことがあらかじめ確認されている範囲において、別の規準の考え方で設計を行うことは可能」と考えられます。
(社)日本建築学会編「建築基礎構造設計指針」等で示される支持力
式等を採用する場合で、当該指針の適用条件において用いられる
場合には、平13国交告第1113号の第6において採用することができ
ます。ただしこの場合、極限先端支持力度はqp=150・平均N値でなく、上記指針(6.3.7)式に示すqp=100・平均N値で算定する必要があります。